一人で開発を行うことのメリットは、誰にも邪魔されずに、自分が正しいと思ったことを、すぐに実行出来ることにあると思います。自分がやるべき!だと思ったことはやれば良いし、やらないべき!だと思ったことはやらなければ良い、単純明快です。全て、自分一人でコントロール出来ます。
でも、やがて、一人の限界値ってものが訪れるんですよね。アレもコレも全て一人でやっているようでは、いくら時間があっても足りないし、何より、スピード感がありません。
そこで、チーム開発ですよ!っていうことで、しばらく、チーム開発という状況から離れていたこともあって、『Team Geek』を手に取って、チームとは何なのか学んでみることにしました。
チームがすべて
去年の夏過ぎから、自社で教育アプリの企画からデザイン、開発、運用、プロモーションまで、一通りの作業を一人でこなすようになっていて、チーム開発とは無縁の状態になっていました。そこで感じていたことは、やはり、一人で出来ることには限界があるということでした。一人で偉業を成し遂げるには、足りないものが多過ぎると感じていました。
隠れ家に1人でいたら、才能が開花することもない。秘密の発明をこっそり準備していたら、世界を変えることもできないし、数百万人のユーザーを喜ばせることもできない。誰かと一緒に仕事をしなければいけないんだ。ビジョンを共有しよう。仕事を分担しよう。他人から学ぼう。そして、素晴らしいチームを作るんだ。
まさに、そのままのことが書いてありました。ソフトウェア開発はチームスポーツであり、優れたチームを作ることが成功の鍵であると言っています。
コラボレーションの基板となる三本柱
優れたチームに不可欠である、三本柱として、以下が紹介されています。
謙虚 / Humility
- 世界の中心は君ではない
- 君は全知全能ではない
- 絶対に正しいわけではない
- 常に自分を改善しよう
尊敬 / Respect
- 一緒に働く人のことを心から思いやろう
- 相手を1人の人間として扱おう
- 能力や功績を高く評価しよう
信頼 / Trust
- 自分以外の人は有能
- 正しいことをすると信じよう
- 仕事を任せよう
分からないことは分からないと素直に聞いたり、相手の意見に耳を傾けたり、一緒に働く相手を仲間として受け入れること、そして、同じ目標に向かって突き進む同志として協力し合うことなど、これは、ごく当たり前のことですよね。でも、これを実現するためには、お互いがお互い、これらの三本柱を意識している必要があるし、そもそも、心と心に距離がある場合は、なかなか難しいことだと思います。
重要な変化は君から始まる。そこから他の人に広がっていく。
まずは、自分自身のことを振り返って考えて、自然と実践出来るようになれたらいいなと思いました。そして、この引用にあるように、チームに対して良い変化を与えられる存在になりたいし、なれるように努力すべきですね。
何よりも大切なミッションの共有
チームメンバー間で、ミッションステートメントを共有することの大切さについて書かれていました。アジャイルサムライに出て来る「我々はなぜここにいるのか?」にも通じるものがありますね。チームとして進むべき指標となるため、一番大事にしたいところでもあります。
特に、エンジニアであれば、何のために自分はこのコードを書いているのか、命を燃やして書いたこのコードの向こう側には一体何があるのか、そういったことを意識しているかいないかで、当事者意識を持って、仕事に取り組めるかどうかの違いが出て来ると思っています。
密室の議論を無くそう
リモートワークをしている場合は、オンラインに上がっている情報が全てとなります。そのため、リモートワーカーからしてみると、口頭で話して決めたことなどは、共有してもらわない限り、闇の中で知る由もありません。
Subversion プロジェクトのモットーは、「メーリングリストで議論がなかったら何も起きていない」だった。
全ての情報は、何らかの形でいつでも、誰でもアクセス出来るようにしておくべきですね。これは、常日頃よく意識しておかないと、うっかり、情報を上げることを忘れてしまいそうなので注意が必要ですね。
コミュニケーションからコードへ
我々のようなエンジニアはコードを書くことをメインタスクとして捉えがちだけど、実際の業務は、それだけでは完結せず、チーム内外に対するコミュニケーションが必要、かつ、重要となります。
チームには適切な人と正しい価値を投入することが大切だ。しかし、チームの文化の大部分はコミュニケーションで成り立っている。
人と人とのコミュニケーションがプロジェクトを牽引して、それが、やがて、コードへと反映されて行くわけですね。
仲間を知って、チームを知ろう
私は、新しいチームに入ったとき、積極的にコミュニケーションを取って行くスタイルを取っています、意識的に。それが、仲間のことを知ることにもなるし、チームを知ることにもなるからです。コミュニケーションを進んですることは、そのチームに素早く適応するための近道だと思っています。相手にとっても、何者か分からない私を相手に仕事をするより、私がどういう人間なのか知った上で仕事をした方が仕事をしやすいはずです。それは、また、逆も同じです。
今回、この書籍を読むことで、仲間やチームについて、過去に自分がどういうスタンスを取っていたか思い出したり、今後どのようにすべきか、その指標が出来たような気がします。
仲間、チームについて、何か気になることがあったら、また、この本を手に取ってみて、そのときの状況に応じて考えてみたりしたいですね。
合わせて読みたい
- アジャイルサムライの『我々はなぜここにいるのか?』を考えよう! - FAKELOG
- そのコードの向こう側、見えてますか? - FAKELOG
- 何故やるのか - pblog
- 口頭で話したことを文字に起こすことについて - pblog
Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか
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